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2025年05月15日
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百物語

2009年10月27日


一人の女の子があるカラオケ店の前にいたの。ワンピース着た女の子ね。
その子、すごくおしゃれして、しかもすごくかわいくて、店に来た男の人にも話しかけられてたんだよね。「ねぇ、一緒行かない?」って。
でもね、その子は首を振るだけで何にも言わないの。だから男の人たちはみんな諦めたらしいよ。まあ、当たり前じゃない? そんなノリ悪い女の子のならさ、諦めちゃうじゃん。
そんなだけど、でも、ある男の人がまた女の子に声をかけたの。その人、女の子と遊ぶの大好きで、女の子口説くの得意だから、ワンピースのその子も上手く連れ込もうと思ったらしいの。
「君、オレと一緒に遊ばない?」
でも、やっぱり女の子は首を振るけど男の人は強引に腕を掴んで、女の子をお店に連れて行ってさ。その間女の子何にも言わないで、ずっと黙ってたのよね。
男の人は一人ではしゃいで、女の子はずーっと黙ってて。だから、男の人は「一緒に歌おうよ」って言ったら、女の子はマイクをとって、男の人と歌い始めたの。
それから何時間か二人で歌ったんだけど、時間が来て、店を出ないといけなくなったの。もちろん、男の人は出ようとするんだけど女の子が止めちゃった。
「どうしたの?」って男の人が聞いても女の子は何も言わないで、俯いて、男の人の腕を掴んだまま。しかもどんどん腕を掴む力が強くなって、男の人は怖くなってきちゃった。早く出たくなるわよね。追加料金なっちゃうし、なによりその子が何にも言わないで腕を掴んだままなんだし。
すると女の子が、言ったの。
「一緒に、歌うんでしょ」、って。


「怖っ! 里佳怖っ!」
 話を聞き終えた光貴は肩を抱いて叫んだ。そして話を終えた里佳は目の前にあるろうそくをふっと息を吹きかけて火を消した。
「ま、オカ研会長なんだからこれぐらい出来ないとね」
 先ほどまで語りをしていた顔とは違って、にこりと明るく笑う里佳。
「しかし三人で百物語はきついかあ……」
「そろそろネタ尽きてきたぜー。月読そろそろ引き出しオープンプリーズ?」
「パスパス」
「またあ?! 夜維斗、パスばっか!」
 里佳が不満げな声を上げるが、夜維斗は無視をして、手元にある本に視線を落とした。
「もしかしてあたしの話の間、本読んでたんじゃないでしょうね?!」
「お前、そのカラオケの話何度目だ」
「でもアレンジはしたわよ? ほら、男の人の口調とかしゅげっちゃんモデルにしたし」
「え、俺、捕まった役?」
「まあそれは置いといて、次! 夜維斗!」
 びっ、と火の消えたろうそくを里佳は真顔で夜維斗に突きつける。夜維斗はしぶしぶろうそくを受け取り、ライターで火を付けた。
「すぐ終わるぞ」
 夜維斗の言葉に光貴がごくりと喉を鳴らし、里佳もじっとろうそくの火を見た。
「ここにも、いる」
 そう言って、夜維斗は火を消した。すると、里佳と光貴は呆然とした。それからしばらくして、里佳が大きく息を吸った。
「はああああああああああっ?!」
 予想通りのリアクションを想定していた夜維斗と光貴は耳をしっかりとふさいだ。
「ふざけんじゃないわよ?! 何よそれ! 百『物語』なんだから、話しなさいよ、は・な・し!」
「朱月、パス」
「え、俺かよ?!」
 ぎゃあぎゃあと叫ぶ里佳を無視して夜維斗は光貴にろうそくを渡した。
「ただの報告じゃない! しかも根拠がない!!」
「お前の話にも根拠はないだろ」
「ま、あくまで百物語だからさ、事実とは関係ないこともあるだろ。俺も割とネタ入ってたし」
「うー……じゃあ、いいわ。次、しゅげっちゃんね」
 光貴に諭された里佳は諦めたように光貴のろうそくに火を付けた。
















怪談レストラン見た結果です☆
果たして月読が見たのは本当でしょうかね(笑)
里佳さまはこういう手の話をするのが得意です。なんてったってオカ研会長さま!
朱月は多分都市伝説得意そう。しかも男女関係がらみの(笑)


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