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2025年05月16日
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幽霊は語る
2010年02月09日
最初はさ、呪ってやろうかと思ったわけさ。
何で? だってさ、元はここ、オレの店だったんだぜ。それを勝手に荒らされてさあ……
だから一発、ガツーンと呪ってやる、って思ったらさあ……あいつ、オレを見てもビビんないのさ。
今までここに入ってきた人間追っ払ったけどさ、だいたいみんな逃げるのに、あいつ逃げないんだぜ? オレ、一人ではしゃいじゃった系じゃん。
じゃあじわじわ呪ってやる、って思ったら……あいつ飯食わないで倒れたわけ! 何それ?! ってなっちゃうよな!
慌てて起こして、何で飯食わないか訊いたんだよ。そしたらさ、
「飯作るの、めんどい」
あ、今の真似、似てなかった? 結構似てるだろー!
……じゃなくてさ。さすがにオレも料理とか、この状態じゃできないからさ、なんとか冷蔵庫の食えそうなもの食わせたわけよ。
なんかね、その時に思ったのさ。こいつ呪い殺す前に飢餓で死ぬ、って。そしたらなんか、呪うとかどうこうが、一気にどうでも良くなってさあ。
結局ね、オレはあいつが好きなんだよ。あ、変な意味じゃねぇよ。友人、的な意味だからな。オレ、女の子の方が好きだし。
けど、オレはあいつのそばにいるのが楽しいわけだ。死んでからもこんなに楽しい思いできて、オレは幸せ者だね。
ただ、残念なのはこれが死んでるってことだよな。生きてたら、あいつにもオレの飯を食わせることもできたのになあ。
だからさ、お前もさ、もうちょい楽しめよ。せっかく生きてるんだからさ。
「……無駄に説得力があるな」
「まあな、幽霊だし」
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