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2025年05月13日
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夜 と 朝
2009年02月25日
「お前は、何だ」
目の前にいるやつは、笑っている。
「昔きみが捨てた、きみ自身だよ」
「俺、自身」
頷く。やつは、俺と同じ顔をしている、と周りが言っていた。似ているのか俺はわからないが、ただ俺とやつは根本が違うと思う。やつは、違う。
「人間なのか、お前」
「ストレートな質問だね。でも僕は彼女には『見えて』いるよ」
その言葉には、やつの自信があった。そして、やつは微笑んだまま言葉を続けた。
「きみは、僕を知っているよ。遠い過去に置いてきた、きみ自身」
「過去、だと?」
「きみが望んだ、きみの姿。それが、僕だよ……*******くん」
*******は笑った。
「なりたかったんでしょう? こんな風に」
やつは自分の胸に手を当てながら頷く。自信に溢れた、確信の頷きだった。
「誰かに愛されて、誰かに求められて、誰かと一緒にいる」
やつの言葉に偽りはなかった。
「きみが望むきみの姿。僕は、きみがなりたかったきみなんだよ」
「俺が、なりたかった俺」
「僕にはきみが求める全てがある。きみが手に入れられなかった全てが」
そして、やつは俺に向かって手を伸ばす。
「きみが、望むようにしてあげるよ」
「俺が望む……」
「そう」
「きみが、僕の影になればいい」
今まで、僕がそうであったように。やつはそう言った。
とあるネタのとある二人組。
やっぱり鬱っぽいネタが彼には似合うね。
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